小さな赤瓦の蔵、三代の酒造り
池原酒造は1951年、石垣市大川で池原興吉氏によって創業しました。 石垣の市街地からほど近い住宅街に佇む、赤瓦の小さな酒造所です。
創業者の興吉氏は若くして亡くなり、その後を池原信子さんが二代目として継承。 家族で酒造りを守りながら、 「白百合」と「赤馬」という二つの銘柄を造り続けてきました。 白百合の名は、石垣島の野原に咲く百合の花のような 清潔感と爽やかさを感じる酒に、との思いから名付けられたといいます。
洗米から蒸留までを手作業で行い、 麹造りには昔ながらの竹網、蒸留には直火釜、 古酒の熟成には甕を使う。 設備を近代化して生産量を増やすのではなく、 造れる量だけを丁寧に造るという酒造りが受け継がれてきました。
やがて蔵は後継者問題から廃業の危機を迎えます。 そこで2013年、孫の池原優氏が三代目として酒造所を継承。 酒造り未経験から先代の味を受け継ぎながら、 昔ながらの「白百合」を守る一方で、 新しい泡盛の可能性にも挑む酒造所へと歩み始めました。
MoodToyo's Stocks
現在販売されている泡盛だけでなく、 MoodToyoで長く保管してきた瓶や、 時間を重ねた泡盛もご紹介します。
白百合 30度 (一般酒)【販売中】
瓶詰時期:随時入れ替え
土っぽい、カビっぽい...この泡盛に限っては褒め言葉になってしまう「白百合らしさ」は、製法から生まれる複合的な香りの妙。ひと昔と比べて香りは弱まったとの意見も聞きますが、それだけ白百合の人気が高まったことと喜ぶのが真の愛好家というものです。
白百合 43度 (3年古酒)【熟成中】
瓶詰時期:----
現在では販売されていない「白百合・古酒」、今や愛好家には高嶺の花となりました。あの香りをもう一度...
白百合 荒濾過44度 (3年古酒)【熟成中】
瓶詰時期:----
甕熟成ではないので白百合のあの香りを求めても香りません。ならば空いた甕で熟成させたら...そんな思いから2013年7月10日に「5本の荒濾過を10年間」甕で寝せてみました。結果は...
赤馬 (古酒)【熟成中】
瓶詰時期:-----
白百合らしいあの香りをほのかに漂わしながらも、やわらかく染み渡る優しい甘みと潤いが人気。
店主の記録
幾度も白百合の香りばかりに触れてしまい恐縮ですが、二十数年前に白百合を開封した時のことは今でもよく覚えてます。変わったお酒が好きなお客さんに1本販売した後に、自分でも確かめたかった。開封一番「え!カビてんの?」そう言いながらビンの口元を確認した。(失礼ながら当時の状況を忠実に再現しております)当然ながらそんなものは見当たらず、なぜこんな香りがするのか?本当に疑問でした。
次の来店の際に恐る恐る「どうでした?」と聞くと「うまかったよ」と返されたのでそれ以上話しを進めなかった。笑。
しかしながら腑に落ちない。甕仕込み、甕貯蔵を謳う酒造所の泡盛にはあの香りはない。謎に導かれ石垣島へ飛んだ。
静かな住宅街。赤瓦住宅がそのまま酒造所になっていた。引き戸を開けるとあの香りに出迎えられた。「これだ!」この上ない至福、まるで白百合の甕の中にいるような錯覚を覚える。ほどなくして白髪のおばぁが現れた。カールした髪が白百合と重なる。「信子さんだ!」自分の中では神格化された醸造家を前にして、おそらくこの細い目も丸くなっていたと思う。「1度飲んだお客さんが、この酒臭いね。と言いながらも次来た時にはあれ、あるの?って言うんですよ〜」そう伝えた時の「ニタ〜っ」と笑う笑顔が忘れられない。「奥(酒造所)見てみます?」二つ返事でいざ奥の院へ。直火釜、蒸留機、そして目に飛び込んできた大甕。昭和5?年というレッテルが貼られていた。この甕の中にあの酒が白百合が熟成していると思うと涙が出そうだった。同時に涎もね。笑
皆を虜にする白百合の香りは甕だけがもたらす訳ではない。あの地、あの場所、あの酒造所のなかにある「全ての複合的な産物」そして時間という魔法。それらが醸す唯一無二が「白百合」なのだ思う。
今は信子さんのお孫さん「優さん」に代が変わり、新たな白百合を誕生させ、第2回 (2024)「SAKE AWARD」で優勝するなど、その独自性を遺憾なく発揮しメディアへの出演など益々スポットを当てられる存在として活躍されております。一方、信子さんも3姉妹(だったの?)でお元気な姿をSNSで見かけました。嬉しい限りです...なんだか熱く語ってしまいました。