希望と恵みを、その名に込めて
宮里酒造所が創業したのは1946年。 沖縄戦が終わって間もない小禄の地に、 小さな赤瓦屋根の酒造所が建てられました。
代表銘柄は「春雨」。 「春」は希望を、「雨」は恵みを表し、 戦後の沖縄で再び酒造りを始める人々の思いを その名に重ねた泡盛です。
時代とともに周囲の小禄は大きく姿を変えました。 かつて何もなかった土地には住宅や建物が並び、 現在では那覇の市街地の一部となっています。 その住宅街の中に、今も看板を掲げることなく、 赤瓦の小さな蔵がひっそりと残っています。
大きくすることより、良い酒を造ること。 創業から受け継がれてきた酒造りを守りながら、 「春雨」は小さな蔵だからこそできる泡盛を 今も追い続けています。
幻の酒から、再び「春雨」へ
宮里酒造所が創業したのは1946年。 戦後間もない小禄の地で酒造りを始めました。 「春は希望、雨は恵み」。 その願いを込め、酒には「春雨」と名付けられました。 しかしその後、宮里酒造所は長い間、 自社銘柄を一般に販売せず、 他の酒造所や酒造協同組合へ原酒を供給する 「桶売り」を中心とした酒造りを続けます。 酒は造っているのに「春雨」は市場にはほとんど出てこない。 その酒質を知る人々の間では、 いつしか「幻の酒」と呼ばれるようになりました。
転機となったのは1997年。 春雨をもう一度世に出してほしいという販売店からの強い要望を受け、 約20年ぶりに「春雨」の一般販売が復活します。
そして2000年、九州・沖縄サミット。 首里城で催された晩餐会で振る舞う泡盛を選ぶ ブラインドテイスティングで「春雨」が第1位に選ばれました。
長く桶売りに徹し、表舞台から姿を消していた小さな蔵の酒が、 復活からわずか数年で世界の賓客を迎える席へ。 「幻の酒・春雨」の名が広く知られる、大きな転機となりました。
MoodToyo's Stocks
現在販売されている泡盛だけでなく、 MoodToyoで長く保管してきた瓶や、 時間を重ねた泡盛もご紹介します。
カリー春雨 30% (一般酒)【販売中】
瓶詰時期:随時入れ替え
一般酒でありながら、古酒を思わせるなめらかな口当たり。バニラやナッツを思わせる甘く香ばしい香りと、柔らかな旨みが広がる。宮里酒造所の緻密な酒質設計を、もっとも身近に感じられる一本。
ゴールド春雨 30% (一般酒)【販売中】
瓶詰時期:随時入れ替え
3年未満の一般酒ながら、古酒を思わせる熟成感を持つ「春雨ゴールド」。独自の酒質設計によって、バニラを思わせる甘い香りと、濃醇でなめらかな飲み口に仕上げられています。
春雨ラメ 43%【熟成中】
瓶詰時期:随時入れ替え
古酒ではないのに、古酒を思わせる。老麹仕込みと約2〜3年の熟成によって、バニラを思わせる甘い香りと、まろやかで濃厚な旨みを引き出した「春雨ラメ」。宮里酒造所が追求する“古酒感を持つ一般酒”の到達点ともいえる一本。
マイルド春雨【販売中】
瓶詰時期:随時入れ替え
25度の柔らかな口当たりながら、「薄さを感じさせない」コクと旨み。老麹による深みとやさしい甘さを持ちながら、後口はすっきり。料理とともに楽しむことを考えて造られた「春雨」の食中酒。
店主の記録
初めて伺った際には、「泡盛の貯蔵」について細やかに説明していただきました。 また、温暖湿潤な亜熱帯の気候とはいえ、 季節によって、そして日によっても変化する気温や湿度。 日々欠かさず取り続けたデータをもとに、 その日の酒造りの舵を取っているとのことでした。
2000年の沖縄サミット、二千円札には守礼門、 「幻の酒・春雨」、そして翌2001年には「ちゅらさん」の放映開始。 この頃、全国的な沖縄ブームがまるで台風のように日本中へ広がっていきます。
地方でも沖縄料理店が増え、泡盛の県外出荷も2004年にピークを迎えます。 その後あれほど街の酒屋に並んでいた「泡盛」も少しずつ減り、 泡盛を取り巻く景色もずいぶん変わりました。
しかしブームには、いつか終わりが来ます。 それでも、酒は残ります。 「春雨」は、一時の沖縄ブームが過ぎ去ったあとも変わらず支持され続ける泡盛です。
小禄にある赤瓦の小さな蔵では、今日もデータを取り、麹を見つめ、醪の声を聞き、そして静かに寝かせている。 「春雨」の旨さの奥には、そんな実直な酒造りを感じます。