国泉から独立し、「舞富名」へ
入波平酒造のルーツは1949年。 戦後の与那国島・祖納で「入波平酒屋」として 酒造りを始めたことにさかのぼります。 その後、島の造り手たちとともに国泉泡盛へ参加。 長く「どなん」へとつながる酒造りの一翼を担ってきました。
転機となったのは1989年。 国泉泡盛(どなん酒造)から独立し、入波平酒造として新たな酒造りを始めます。 そこで生まれた代表銘柄が「舞富名(まいふな)」。 与那国の言葉で、親孝行な者や働き者を称える言葉に 由来する名です。
入波平酒造が特に力を注いだのが古酒造りでした。 なかでも与那国特有の60度前後の「花酒」を長期間熟成させる 花酒古酒は、この蔵を象徴する存在となっていきます。
2000年代には祖納を離れ、 与那国空港の西側に新しい工場を建設。 古酒の貯蔵設備を整え、 日本最西端の酒造所として「舞富名」を造り続けました。
その後、生産休止と再開を経ながら酒造りを続けましたが、 現在、入波平酒造はその歴史に幕を下ろしています。 かつて与那国島に三つあった酒造所は二つとなり、 「舞富名」もまた、島の酒造りの記憶となりました。
MoodToyo's Stocks
現在販売されている泡盛だけでなく、 MoodToyoで長く保管してきた瓶や、 時間を重ねた泡盛もご紹介します。
国境の宙 30度 (一般酒)【熟成中】
瓶詰時期:随時入れ替え
宙と書いて「そら」と読む。電灯も少ない島の夜は暗いが星は最高に綺麗だろうね。2008年に発売されたようです。
舞富名 60度 (10年古酒)【熟成中】
瓶詰時期:----
タンク9年、甕1年の10年古酒。当時、高額な花酒だったので相当の覚悟で仕入れたのを思い出す。1992年蒸留だった気がする。
はなはな 30度 (古酒)【熟成中】
瓶詰時期:----
落ち着いた香り、角の取れた口当たりと丸みのあるな甘みが良かった。「乾杯」という意味の「はなはな」。島でもそう掛け声がかかる度に思い出されてるのではないだろうか?
店主の記録
さて、お名残惜しいですが、与那国を後にする時間が迫ってまいりました。 空港の先にある入波平さんを訪ね、再び空港へ戻るまであと○○分。 「え! ○○分?」…… 見て、写真だけ撮って、すぐさまUターン。 結局、搭乗は最後になってしまいました。 「飛行機に間に合わなくて与那国馬で空港まで疾走した」 とかいう話じゃなくてすみません。
自分も「舞富名 はなはな」は、 お店で何度も「ハナハナ」した思い入れのある酒です。 その舞富名の竈の火が消えてしまったことは、やはり寂しい。 ひとつの蔵がなくなれば、与那国の酒の味もまた少し変わってゆく。 そして残った蔵の酒が、また新しいコアなファンを呼ぶでしょう。
「いつか、その古酒で乾杯したい。」 そう率直に思うのは、きっと自分だけではないはず。 これほど小さな島に三つもの蔵元があったという過去も素敵ですし、 それぞれに違う酒を造り続けてきたこともまた、 与那国という島のおもしろさなのだと思います。
ひとつの竈の火は消えてしまいました。 それでも、島の酒造りはまだ続いていく。 これから「与那国」と「どなん」に、 どんな風が吹いていくのかも楽しみです。